昇進を断るときは、まず打診への感謝を伝えたうえで、理由を簡潔に説明し、はっきり辞退の意思を伝えます。上司への不満として受け取られないように、「会社や仕事への意欲はあるが、現時点では昇進を引き受けられない」という形で伝えるのが基本です。
昇進を断るときの基本的な伝え方
次の順番で話すと、角が立ちにくく、意思も伝わりやすくなります。
- 昇進の声をかけてもらったことへの感謝を伝える
- 昇進を引き受けられない理由を簡潔に説明する
- 今回は辞退したいという結論を明確に伝える
- 今後の働き方や、会社への貢献意欲を示す
たとえば、次のように伝えられます。
「このたびは評価していただき、ありがとうございます。大変ありがたいお話ですが、現在の家庭の事情と仕事の状況を考えると、今すぐ管理職としての責任を担うのは難しいと判断しました。申し訳ありませんが、今回は昇進を辞退させていただけないでしょうか。現在の立場でも、引き続きチームや会社に貢献していきたいと考えています」
理由はどこまで詳しく説明するべきか
理由は、相手が納得するために必要な範囲で説明すれば十分です。家庭、健康、介護、育児、勤務地、勤務時間などの事情を伝える場合も、プライベートな詳細まで話す必要はありません。
たとえば、次のように簡潔に表現できます。
- 「現在は家庭との両立を優先したい事情があります」
- 「今の生活状況では、昇進後に求められる勤務時間や責任に対応するのが難しいと考えています」
- 「専門分野の業務に集中したいという希望があります」
- 「現時点では、管理職として必要な役割を十分に果たせる見通しが持てません」
- 「もう少し現在の業務で経験を積んでから、改めて考えたいと思っています」
「責任を負いたくない」「忙しくなるのが嫌だ」のように、そのまま伝えると後ろ向きな印象になりやすい表現は避けたほうが無難です。同じ内容でも、「現時点では十分に責任を果たせる状況ではない」と言い換えると、仕事への姿勢を保ちやすくなります。
理由別の伝え方と例文
家庭や育児・介護を理由に断る場合
家庭の事情を理由にする場合は、詳しい事情を説明しすぎず、昇進後の働き方との両立が難しいことを伝えます。
「評価していただいたことは大変ありがたく思っています。ただ、現在は家庭の事情から、昇進後に求められる勤務時間や責任に対応することが難しい状況です。環境が変わった段階で、改めて挑戦を検討させていただければと思います」
管理職になりたくない場合
管理職を希望しない場合でも、「会社で働き続けたくない」と誤解されないよう、現在の専門性や業務で貢献したいという希望を添えます。
「お声がけいただき、ありがとうございます。現時点では、組織の管理よりも、これまで培ってきた専門分野の業務で成果を出すことを希望しています。そのため、今回は管理職への昇進を辞退させていただきたいと考えています。担当業務では、これまで以上に成果を上げられるよう努めます」
経験不足を理由に断る場合
経験不足を理由にする場合は、単に自信がないと伝えるのではなく、何が不足していると考えているのかを示すと、今後の成長意欲が伝わります。
「昇進のお話はありがたく受け止めています。ただ、現時点ではメンバーの育成や業務全体の管理について、まだ経験が不足していると感じています。まずは現在の業務で経験を積み、将来的に改めて挑戦できるよう準備したいと考えています」
勤務地や勤務条件が合わない場合
転勤、勤務時間、出張などが難しい場合は、条件のどの部分に対応できないのかを具体的に伝えます。
「昇進後の役割には関心がありますが、現時点では転勤を伴う働き方に対応できない事情があります。条件が変わる可能性がある場合は、今後も相談させていただけますでしょうか」
上司に伝えるときのポイント
昇進を断る話は、メールだけで済ませず、まずは面談や対面で伝えるのが基本です。口頭で意思を伝えた後、必要に応じてメールで内容を確認すると、認識の行き違いを防げます。
- 早めに伝える:返事を保留し続けず、検討に必要な期限を確認する
- 感謝を先に伝える:評価や期待を否定する形から始めない
- 結論を曖昧にしない:辞退するなら「今回は辞退したい」と明言する
- 会社や上司への批判にしない:待遇や人間関係への不満だけを理由にしない
- 今後の貢献を示す:現在の仕事でどのように貢献したいかを伝える
「少し考えます」と伝える場合は、いつまでに返事をするのかも確認しておきましょう。返事の期限が分からないまま保留すると、受ける意思があると誤解されることがあります。
引き止められたときの返答
昇進を断った後に、「なぜ難しいのか」「条件を変えれば受けられるのか」と聞かれることがあります。その場合は、最初に伝えた理由を繰り返し、受ける条件があるなら具体的に話します。
たとえば、家庭の事情がある場合は、次のように返答できます。
「お声がけいただいたことは本当にありがたく思っています。ただ、現在の家庭の事情はすぐに変えられるものではなく、今のままでは責任を十分に果たせないと考えています。今回は辞退したいという意思に変わりはありません」
一方で、勤務時間や担当範囲などの条件次第で検討できる場合は、次のように伝えます。
「管理職の役割そのものを拒否しているわけではありません。担当範囲や勤務条件について相談できるのであれば、どのような形なら可能かを検討したいです」
条件が変われば受けられるのか、どのような条件でも今回は断るのかを、自分の中で整理してから話すことが大切です。
メールで伝える場合の例文
対面や面談で相談した後の確認メール、またはメールで返答を求められた場合は、次のように書けます。
件名:昇進のお話について
〇〇様
このたびは、昇進のお話をいただき、誠にありがとうございます。これまでの仕事を評価していただいたことを、大変ありがたく受け止めております。
一方で、現在の家庭の事情と今後の働き方を考えた結果、現時点では昇進後に求められる責任を十分に果たすことが難しいと判断いたしました。
大変恐縮ですが、今回は昇進を辞退させていただきたく存じます。現在の担当業務では、これまで以上に成果を上げ、チームに貢献できるよう努めてまいります。
何卒ご理解くださいますよう、よろしくお願いいたします。
昇進を断る前に確認しておきたいこと
昇進を断ると、役職だけでなく、給与、評価、担当業務、勤務時間、勤務地などが変わる可能性があります。ただし、実際にどう扱われるかは会社の制度や人事上の判断によって異なるため、断る前に確認しておく必要があります。
- 昇進を断った場合に、現在の職位や給与がどうなるか
- 昇進後の具体的な役割、勤務時間、勤務地
- 将来、再び昇進を希望できるか
- 返答の期限と、正式な手続きの有無
- 人事部門や就業規則に確認すべき事項があるか
これらは会社によって異なるため、断る前に上司や人事担当者へ確認しましょう。特に、昇進を断った後の待遇や評価については、推測で判断せず、会社の説明を聞いてから決めることが重要です。
昇進を断るときの要点
昇進を断るときは、感謝、簡潔な理由、明確な辞退、今後の貢献の順に伝えると、意図が伝わりやすくなります。
まずは、昇進後の役割や勤務条件、辞退した場合の扱いを確認してください。そのうえで、自分が受けられない理由と、今後どのように働きたいかを整理し、できるだけ早く上司に相談しましょう。







