ビジネス敬語の二重敬語にはどんな例がある?

ビジネス敬語の二重敬語にはどんな例がある?

ビジネス敬語の二重敬語とは、1つの言葉に同じ種類の敬語を重ねる表現です。代表例には「ご覧になられる」「おっしゃられる」「お召し上がりになられる」などがあります。基本的には、敬語を1つに整理した「ご覧になる」「おっしゃる」「召し上がる」などに言い換えると、自然で伝わりやすくなります。

ビジネス敬語でよくある二重敬語の例

次の表現は、尊敬語や謙譲語が重なっているため、ビジネス場面では簡潔な形に直すのが無難です。

二重敬語の例 言い換え 意味
ご覧になられる ご覧になる 見る
おっしゃられる おっしゃる 言う
お見えになられる お見えになる 来る・いる
お帰りになられる お帰りになる 帰る
ご利用になられる ご利用になる 利用する
お召し上がりになられる 召し上がる 食べる・飲む
拝見させていただく 拝見する 見る
お伺いさせていただく 伺う・お伺いする 訪問する・聞く

「ご覧になられる」は「ご覧になる」が自然

「見る」の尊敬語は「ご覧になる」です。「ご覧になられる」は、「ご覧になる」に「れる・られる」を加えているため、尊敬の表現が重なっています。

たとえば、次のように言い換えます。

  • 不自然になりやすい表現:資料をご覧になられましたか。
  • 自然な表現:資料をご覧になりましたか。

「おっしゃられる」は「おっしゃる」に言い換える

「おっしゃる」は「言う」の尊敬語として、それだけで相手への敬意を表せます。「おっしゃられる」とすると、「おっしゃる」と「られる」が重なるため、一般的なビジネス文書や会話では「おっしゃる」を使います。

  • 不自然になりやすい表現:先ほどおっしゃられた内容について確認します。
  • 自然な表現:先ほどおっしゃった内容について確認します。

「お召し上がりになられる」は敬語を重ねすぎた表現

「召し上がる」は「食べる」「飲む」の尊敬語です。「お召し上がりになる」も広く使われる表現ですが、さらに「なられる」を加えた「お召し上がりになられる」は、敬語を重ねすぎています。

相手に食事をすすめるときは、次のように表現できます。

  • 召し上がってください。
  • どうぞお召し上がりください。

「召し上がってください」は簡潔で、「お召し上がりください」は丁寧な印象の表現です。どちらも「お召し上がりになられる」より自然に使えます。

「お伺いさせていただく」は場面に応じて整理する

「伺う」は「訪問する」「聞く」「尋ねる」の謙譲語です。そのため、「お伺いさせていただく」は謙譲表現を重ねた表現として扱われることがあります。

訪問の予定を伝えるなら、「明日、伺います」や「明日、お伺いします」と言い換えられます。

  • 不自然になりやすい表現:明日の午後、貴社へお伺いさせていただきます。
  • 自然な表現:明日の午後、貴社へ伺います。
  • 自然な表現:明日の午後、貴社へお伺いします。

「させていただく」は、相手の許可を受け、その行為によって自分が恩恵を受ける場合に使うのが基本です。単に丁寧にしたいという理由だけで、すべての謙譲語に付ける必要はありません。

二重敬語と「丁寧すぎる表現」は分けて考える

二重敬語は、同じ種類の敬語を1つの語に重ねることです。一方、「ご説明いたします」のように、接頭語の「ご」と謙譲語の「いたす」を使う表現は、必ずしも二重敬語とは限りません。

ただし、敬語を重ねるほど丁寧になるとは限りません。表現が長くなると、かえって意味が分かりにくくなったり、慇懃無礼(丁寧すぎて不自然な印象)に受け取られたりすることがあります。

よくある言い換えの考え方

  • 尊敬語がすでにある場合は、「れる・られる」を重ねない
  • 謙譲語がすでにある場合は、「させていただく」を必要以上に加えない
  • 相手の動作には尊敬語、自分の動作には謙譲語を使う
  • 迷ったときは、1文を短くして敬語を1つに整理する

ビジネス敬語の二重敬語を見分ける方法

二重敬語か迷ったときは、まず元の言葉と敬語表現を分けて確認します。

  1. 動作の元の言葉を確認する。「見る」「言う」「行く」などに戻します。
  2. すでに尊敬語または謙譲語になっていないか確認します。
  3. 「お・ご」「になる」「れる・られる」「いたす」「させていただく」などが重なっていないか確認します。
  4. 意味が通る敬語を1つ選び、文章全体を読み直します。

たとえば「ご覧になられる」は、「ご覧になる」と「なられる」に分けられます。「ご覧になる」だけで尊敬語になるため、「ご覧になりましたか」とすれば自然です。

二重敬語でも定着している表現はある

二重敬語に当たる形でも、長く使われるうちに一般的な表現として定着しているものがあります。たとえば「お召し上がりになる」「お見えになる」「お伺いする」などです。

そのため、二重敬語に当たる可能性がある表現をすべて誤りと決めつけるのではなく、相手や場面に応じて判断することが大切です。社外向けの文書や改まったメールで迷う場合は、「召し上がる」「お見えになる」「伺います」のように、意味が明確で簡潔な表現を選ぶと安心です。

ビジネス敬語の二重敬語の代表例は、「ご覧になられる」「おっしゃられる」「お帰りになられる」などです。言い換えるときは、「ご覧になる」「おっしゃる」「お帰りになる」のように、敬語の形を1つに整理します。「させていただく」も、相手の許可や恩恵が本当に関係する場合だけ使うと、自然で分かりやすい敬語になります。