敬語の二重敬語の見分け方は?

敬語の二重敬語の見分け方は?

敬語の二重敬語は、同じ相手や動作に対して、同じ種類の敬語表現を重ねているかで見分けられます。たとえば「お読みになられる」は、「お読みになる」と「読まれる」という尊敬表現を重ねているため、一般には避けたほうがよい表現です。

ただし、昔から使われて定着している表現は、二重敬語の形でも必ずしも誤りとは限りません。形だけで判断せず、敬語の仕組みと慣用表現の両方を確認することが大切です。

二重敬語とは、同じ種類の敬語を重ねること

二重敬語とは、ひとつの動作や人物に対して、同じ種類の敬語を二つ以上使う表現です。特に、尊敬語を重ねた「尊敬語の二重敬語」がよく問題になります。

表現 重なっている敬語 一般的な言い換え
お読みになられる 「お読みになる」+「れる」 お読みになる
おっしゃられる 「おっしゃる」+「れる」 おっしゃる
ご覧になられる 「ご覧になる」+「れる」 ご覧になる
お帰りになられる 「お帰りになる」+「れる」 お帰りになる

これらは相手を高めようとする気持ちから生まれやすい表現ですが、基本的には敬語を一つに整理すると、すっきりして自然です。

二重敬語の見分け方は「敬語を分解する」こと

二重敬語か迷ったときは、表現をいくつかの部分に分けて、それぞれが敬語になっていないか確認します。

  1. 文の主語が誰かを確認する。
  2. 「お・ご」「れる・られる」「お〜になる」など、敬語の形を探す。
  3. 同じ人物や同じ動作に、尊敬語や謙譲語が重なっていないか確認する。
  4. 重なっている場合は、どちらか一方を残して意味が通るか確かめる。

「お〜になる」と「れる・られる」が重なっていないか確認する

「お〜になる」は代表的な尊敬語です。一方、「れる・られる」も、動詞によっては尊敬の意味を表します。

そのため、「お読みになられる」のように、両方を同じ動作に使うと、尊敬語が重なります。

  • お客様が資料をお読みになる。
  • 先生がそうおっしゃる。
  • 社長が会場にお越しになる。

「お読みになられる」「おっしゃられる」「お越しになられる」とするより、基本の尊敬語を一つ選ぶほうが適切です。

「お・ご」と「お〜になる」を重ねていないか確認する

「お・ご」を付けただけで、常に二重敬語になるわけではありません。「お名前」「ご住所」のように、相手への配慮を示す接頭語として使われる表現もあります。

一方で、すでに尊敬語として特別な形になっている動詞に、さらに「お〜になる」などを加えると、不自然になる場合があります。たとえば「おっしゃる」は、すでに「言う」の尊敬語なので、「おっしゃられる」とする必要はありません。

二重敬語になりやすい表現と言い換え

避けたい表現 自然な基本表現 元の動詞
おっしゃられる おっしゃる 言う
ご覧になられる ご覧になる 見る
お召し上がりになられる お召し上がりになる 食べる・飲む
お休みになられる お休みになる 寝る
お帰りになられる お帰りになる 帰る

迷ったときは、「お〜になる」または特別な尊敬語のどちらか一方を使うと判断しやすくなります。

二重敬語でも定着している表現はある

二重敬語の形になっていても、長く使われて一般的に定着している表現があります。代表例が「お召し上がりになる」「お見えになる」「お伺いする」などです。

  • お召し上がりになる:食べる・飲むの尊敬表現として定着しています。
  • お見えになる:来る・いるの尊敬表現として使われます。
  • お伺いする:訪問する、尋ねるなどの謙譲表現として使われます。

ただし、定着している表現かどうかにかかわらず、敬語を重ねすぎると感じられる場面では、より簡潔な表現を選ぶと安全です。たとえば「お召し上がりになられる」は重ねすぎなので、「お召し上がりになる」とします。

「させていただく」は二重敬語とは限らない

「私がご説明させていただきます」のように、「お・ご」と「させていただく」が続く表現は、二重敬語だと思われることがあります。しかし、二重敬語かどうかは、表現の目的と文の関係によって判断します。

「させていただく」は、相手の許可や恩恵を受けて自分が何かをする、という意味を含む謙譲表現です。相手の許可を受けて行う場面なら使えますが、単に自分の動作を丁寧に言いたいだけなら、「ご説明します」「説明いたします」で十分です。

  • 会議で資料をご説明します。
  • 許可を得て、私からご説明させていただきます。

このように、「敬語が二つあるか」だけでなく、相手の許可や恩恵を表す必要があるかも確認します。

二重敬語と、丁寧すぎて不自然な表現は別

敬語を複数使っていても、すべてが二重敬語になるわけではありません。尊敬語、謙譲語、丁寧語がそれぞれ別の役割で使われている文もあります。

たとえば「部長がお客様に資料をご説明になります」は、部長の動作を高める尊敬語と、資料に関する「ご」が含まれています。「ご説明」が何を指しているかによって細かな判断は変わりますが、敬語があるというだけで二重敬語とは決められません。

また、「お客様がお見えになりました」のように、定着した表現もあります。文書や接客など、相手に与える印象が重要な場面では、広く使われている自然な表現を優先するとよいでしょう。

迷ったときの判断基準

二重敬語か迷ったときは、次の順番で確認すると判断しやすくなります。

  1. 動作をする人が、目上の人や相手側の人かを確認する。
  2. その動作に尊敬語が二つ使われていないか確認する。
  3. 「お〜になる」と「れる・られる」が重なっていれば、一方を外す。
  4. 「おっしゃる」「ご覧になる」など、すでに敬語になっている言葉に「れる・られる」を加えていないか確認する。
  5. 「お召し上がりになる」「お見えになる」など、定着した表現は例外として扱う。
  6. 社外向けの文書では、迷う表現を避けて簡潔な敬語に言い換える。

たとえば「担当者がお客様にご説明させていただかれます」は、尊敬語と謙譲語が混ざり、敬語も重なっています。誰が説明するのかを整理し、「担当者がご説明します」「担当者がご説明いたします」など、文の関係に合う表現へ直します。

二重敬語の見分け方は、敬語の形を分解し、同じ動作に同じ種類の敬語が重なっていないかを見ることです。「お読みになられる」のような表現は「お読みになる」に直し、定着している「お召し上がりになる」などは、慣用表現として使われているかを考えて判断しましょう。